建設業許可の基礎知識と大阪府での取得方法をわかりやすく解説!
建設業に関わる事業をされている方で、 建設業許可 の取得を目指しているが何から始めて良いのかわからず困っている方や、業務で行う工事に建築業許可が必要なのかどうか悩んでいるという方は少なくないのではないでしょうか?
建設業許可に関する行政のWebサイトを見ても専門的な内容が多く、事業者の方にとっては業務の合間を縫って勉強するのはなかなか大変なものでしょう。
この記事では、建設業許可取得を検討している方が知っておくべき情報の概要を、わかりやすくまとめています。
杉田侑亮事務所の所在地である大阪府の情報を中心に掲載していますが、一般的な情報としても十分参考にしていただけるので、ぜひ読んでみてください。
建設業許可 とは
まずは「建設業許可」とはそもそもどういうものなのか、以下で詳しく解説していきます。
建設業許可 の定義
建設業許可とは、建設業に関わる事業を行うときに必要となる許可のことで、国や都道府県によって発行されます。
この制度は建設業法に基づいて規制されており、建設業に従事する事業者が一定の基準を満たすことを確認し、業界全体の品質や信頼性を維持・向上させる目的で設けられているものです。
建設業許可が必要となる工事の例としては、住宅や商業施設の建築工事、道路や橋梁の土木工事、電気設備や配管工事などがあります。
建設業許可 の必要性と取得のタイミング
建設業全ての事業において建設業許可が必要というわけではなく、「軽微な工事」と言われる小規模な工事の場合は、許可がなくても行うことが可能です。許可が必要となってくるのは、1件の請負代金が税込500万円以上の工事(建築一式工事は1件の請負代金が税込1500万円以上)からとなっています。
また、建設業許可は請負契約を締結するタイミングで必要です。建設業許可が必要となる工事を行う場合、施工が始まるまでに許可があれば良いというわけではないため、規模の大きな工事を請ける予定がある場合は、あらかじめ取得してから契約に臨まないといけません。
もし建設業許可が必要な工事にも関わらず許可なしで行った場合、建設業法違反となります。行為者には、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、法人には「1億円以下の罰金」が課されるため注意しましょう。
「軽微な工事」とは・・・ 「500万円未満」というと500万円ちょうどは入りません。また、金額は税込での額で判断します。「未満」であることと「税込」であることに注意しましょう。 |
【建設業許可に関するお問い合わせ】
建設業許可の取得には複雑な手続きや法的要件があり、日々の業務でお忙しい事業者の方々がご自身で手続きを進めるのは、大変な労力となります。お客様の業務を滞らせることなく迅速に建設業許可を取得し、事業の幅を広げていくには、専門家による代行申請を依頼するのが近道です。
建設業許可に関するご質問やお悩みなどがございましたら、ちょっとしたことでもぜひお気軽にお問い合わせください。
建設業許可 の3つの区分
建設業許可と一言で言っても、建設工事の規模や種類に応じてさまざまな許可があるため、事業者は自社の業務内容や能力に応じた建設業許可を取得する必要があります。
建設業許可をこれから取得される方は、以下の3つの大きな区分を理解し、自身の事業ではそれぞれの区分でどの許可を取得する必要があるのかを確認しましょう。
- 大臣許可と知事許可
- 一般建設業と特定建設業
- 29業種の区分
参考
1. 大臣許可と知事許可|営業所の所在地
営業所の所在地によって決まる区分として、国土交通大臣許可(大臣許可)と都道府県知事許可(知事許可)があります。両者の違いは以下のとおりです。
- 大臣許可・・・営業所が2つ以上の都道府県にある場合。
- 知事許可・・・営業所が1つの都道府県にある場合。複数の営業所があっても、1つ都道府県内にあれば知事許可となる。建設工事自体は全国どこでも可能。
「営業所」とは・・・ 営業所とは、請負契約の締結をする事務所のことです。「支店」「出張所」など呼び名を変えても、その場所で行っている内容で「営業所」かどうか判断されます。契約書への押印だけでなく、請負契約の見積や入札など、請負契約に関わる実体的な行為をする事務所は営業所となるので注意しましょう。 |
2. 一般建設業と特定建設業|一定額以上の下請の有無
建設業許可は、前にも述べているように「軽微な工事」を除く建設工事には必須です。建設業許可を必要とする工事において、発注者から直接請け負う1件の建設工事の下請契約の総額によって決まる区分として、一般建設業許可と特定建設業許可があります。
一般建設業許可と特定建設業許可の違いは以下のとおりです。
- 特定建設業許可・・・発注者から直接請け負った1件の工事代金について、下請人に施工させる額の合計額が税込4,500万円(建築工事業の場合は7,000万円)以上となる場合。
- 一般建設業許可・・・特定建設業以外の場合。
発注者から直接請け負う金額は、特定建設業許可でも一般建設業許可でも制限はありません。また下請契約の金額に、元請負人が下請負人に提供する材料等の価格は含みません。
一般建設業許可のみを持つ事業者が、特定建設業許可の必要な建設工事をした場合は、建設業法違反で罰則が科される可能性があるため注意しましょう。
3. 29業種の区分|請け負う工事の種類
建設業許可には29業種の区分があり、営業する建設工事の業種ごとに許可を取る必要があります。
建設工事は、土木一式工事と建築一式工事の2つの一式工事と27の専門工事に分類され、全部で29業種となっています。
一式工事では複数の専門工事を組み合わせて行う場合がありますが、一式工事で建設業許可を取得しているからといって、その許可を使って単独の専門工事を請け負えるわけではないので注意しましょう。
詳細は以下のとおりです。
「一式工事」とは・・・企画や指導、調整など総合的なマネージメントが必要な工事のことです。一式工事は、大規模で複雑な工事または、複数の専門工事を組み合わせて行う建設工事ともいえます。 |
建設業許可 を取ることのメリット
建設業許可を取ることによって得られる主なメリットは以下のとおりです。
- 公共工事の受注が可能
公共工事は大きな金額の案件であったり、貸倒れリスクが少なかったりと安定した受注源のため、事業拡大につながる可能性あり。
- 顧客からの信頼が向上
建設業許可を取得することで、事業者は法的な基準を満たしている正規の建設業者として認められ、信頼が向上して受注機会が増える可能性あり。
- 金融機関からの融資がスムーズ
建設業許可を持っている事業者は信用度が高いと判断され、金融機関からの融資が行われやすい。
建設業許可を取得しておけば事業の幅は広がりやすくなります。また、許可を取得していない業者と比べて市場での競争力を高めることもできるでしょう。
大阪府の 建設業許可 の5つの要件
ここからは、建設業許可を取得するための以下の5つの要件を解説していきます。
- 経営業務の管理責任者
- 専任技術者
- 財産的基礎・金銭的信用
- 欠格要件
- 建設業の営業所
建設業許可については、「1. 大臣許可と知事許可|営業所の所在地」の章で解説したように、国土交通省大臣の許可と都道府県知事の許可があります。
ここでは、杉田侑亮事務所の所在地である大阪府の建設業許可申請の手引きを参考に、要件を解説していきます。要件の詳細は国や各都道府県によって、若干の違いが見られる場合があるため、詳細を知りたい方はWeb上で公開されているそれぞれの手引きをご参照ください。
要件の詳細を知りたい方や、「〜な場合はこの要件に当てはまる?」といった疑問を解消されたい方は、当事務所までお気軽にお尋ねください。大阪府だけでなく奈良県や兵庫県など近隣府県での建設業許可や大臣許可取得のご相談もお受けしています。
ではそれぞれの要件を見ていきましょう。
参考
1. 経営業務の管理責任者
経営業務の管理責任者とは、事業の運営や労働者の雇用管理、労働安全衛生など建設業に関わる経営業務の管理を適正に行う能力がある者で、国土交通省令で定める基準に適合する必要があります。
建設に関わる事業者は、以下のことが求められます。
- 法人である場合には常勤の役員のうちの1人が、個人である場合には 本人または支配人として、経営業務の管理責任者を置くこと。(建設業法施行規則第7条第1号)
- 健康保険、厚生年金保険、雇用保険など適切な社会保険に加入していること。(建設業法施行規則第7条第2号)
ここでは概要のみをお伝えしていますが、要件の内容はかなり細かく定められており、専門知識がないと、事項に該当するかどうかを判断するのはなかなか難しいでしょう。
「この経験はこの要件に該当するのか?」や「この経験は役員にあたるのか?」など個別ケースごとに聞きたい方は、ぜひ当事務所にお気軽にご相談ください。
2. 専任技術者
専任技術者とは、建設工事に関する専門的な資格や経験を持つ技術者のことで、事業者は、営業所ごとに常勤する専任技術者を置くことが求められます。一般建設業許可における専任技術者の要件(建設業法第7条第2号)と、特定建設業許可における専任技術者の要件(建設業法第15条第2号)がそれぞれ異なるため、注意が必要です。
3. 財産的基礎・金銭的信用
事業者は、一定の財産的基礎や金銭的信用を持つことが求められます。これは、事業者が建設工事を適切に遂行できる資金的な能力を有していることを確認するためです。具体的には、事業者の資本金や借入金などの金額が一定の基準を満たすことが求められます。
この要件においても、一般建設業許可の要件(建設業法第7条第4号)と、特定建設業許可の要件(建設業法第15条第3号)ではそれぞれ異なります。
4.欠格要件
欠格要件とは、建設業許可取得時に事業者が満たしてはいけない条件で、建設業の信用性や安全性を保つために設けられています。詐欺、脱税、建設業法違反などの犯罪歴がある場合や、過去に建設業許可が取り消された事がある場合、一定期間内に再び許可が取得できません。
また、過去に倒産した事がある場合や労働基準法、安全衛生法などの建設業に関する法令に違反している場合も、許可が得られないことがあります。
5. 建設業の営業所
最後の要件は、建設業の営業を行う事務所である「営業所」を有することです。一般建設業、特定建設業における営業所の要件は同じで、原則として以下すべてに該当することが求められます。
- 事務所など建設業の営業を行うべき場所として常時使用する権限を有していること。
- 建物の外観または入口等において、申請者の商号又は名称が確認できること。
- 固定電話、事務機器、机等什器備品を備えていること。
- 許可を受けた建設業者にあっては、営業所ごとに標識(建設業の許可票)を掲げていること。
- 支店等の代表者が常勤しており、かつ契約締結等に関する権限を申請者から委任されていること。
- 専任技術者が営業所に常勤して専らその職務に従事していること。
【建設業許可に関するお問い合わせ】
建設業許可の取得には複雑な手続きや法的要件があり、日々の業務でお忙しい事業者の方々がご自身で手続きを進めるのは、大変な労力となります。お客様の業務を滞らせることなく迅速に建設業許可を取得し、事業の幅を広げていくには、専門家による代行申請を依頼するのが近道です。
建設業許可に関するご質問やお悩みなどがございましたら、ちょっとしたことでもぜひお気軽にお問い合わせください。
建設業許可 の取得方法
建設業許可の取得の流れや、取得にかかる時間、費用を解説していきます。
建設業許可 を取得する手順
建設業許可を取得するためには、以下の手順で進めましょう。
- 許可の種類を確認:まず、「建設業許可の3つの区分」で確認した各区分において、どの建設業許可を受けたいのか明確にする。
- 要件を確認:「大阪府の建設業許可の5つの要件」で確認した、建設業許可の5つの要件を自社が満たしているか確認する。必要な書類や証明も整理しておくことが大切。
- 書類作成:建設業許可申請書、経営業務管理責任者及び専任技術者の経歴書、事業計画書、設立届出書、役員一覧表、定款、会社概要等の書類を用意する。
- 許可行政庁への申請:書類がそろったら、許可行政庁に建設業許可申請書を提出する。
- 審査:許可行政庁が書類を審査し、要件が満たされているかを判断する。
- 許可の取得:審査が終わり、要件が満たされていると判断された場合、建設業許可証が交付される。
建設業許可の取得にかかる時間
許可行政庁や混み具合などによって異なりますが、申請から取得までは数週間から数ヵ月程度かかることが一般的です。大阪府の場合は、「申請書を受付した日から、許可の通知書を発送するまでの標準処理期間は土日、祝日を含む 30日(ただし、年末年始の閉庁日(12 月 29 日~1 月 3 日)、大型連休は標準処理期間に含みません。)」(※)となっています。
出典(※):大阪府|建設業許可申請の手引き 令和5年2月改訂版
建設業許可の取得にかかる費用
建設業許可を申請する際にかかる費用は、主に以下のものがあります。
- 申請料:建設業許可を申請する際に、許可行政庁に支払う必要がある申請料。一般建設業許可または特定建設業許可のいずれか一方のみを取得する際の大臣許可と、知事許可の手数料は以下のとおり。
申請の区分 | 一般建設業または | 一般建設業または |
新規 | 15万円 | 9万円 |
業種追加 | 5万円 | 5万円 |
更新 | 5万円 | 5万円 |
出典:国土交通省|許可申請の手続きより作成
- 各種書類の発行手数料:全部で数千円程度。
- 書類作成代行費:建設業許可申請に必要な書類(経歴書、事業計画書、設立届出書など)を作成する際の費用。専門家に依頼する場合は、そのサービス料が必要となる。
以上で紹介した費用は最低限かかるものとして考慮し、事業を開始する前に十分な資金計画を立てましょう。
建設業許可の有効期限
建設業許可の有効期限は、許可が交付された日から5年間です。更新申請は、有効期限の切れる日の3ヵ月前から1ヵ月前の間に建設業許可申請書や関連書類を改めて提出し、再度審査が行われます。
もし有効期間が経過すると、建設業許可は失効し、事業を継続するためには再度、新規許可取得しなければいけません。期限が切れる前に、更新申請を行い、許可を更新するようにしましょう。
当事務所では建設業許可の更新においても、申請代行をしております。うっかり有効期限を過ぎてしまい失効してしまったということがないように、事業者さまには余裕を持って更新のリマインドを行い、スムーズに更新申請を進めます。
大阪で建設業許可を取るなら杉田侑亮行政書士に
建設業許可の概要、3つの区分における建設業許可の種類や、許可に必要となる5つの要件、取得の方法などの解説をしてきました。
建設業に関わる事業者さまのなかで、建設業許可を取得したいと考えている方は多いでしょう。しかしながら、建設業許可の申請にあたって要件に該当するかどうかの確認や、必要書類を一つ一つ揃えていくことは、骨の折れる作業です。
また、許可取得を迷っている段階の方も、今後営業していきたい工事に建設業許可が必要なのかどうか、また、どの種類の建設業許可を取得しなければならないのかなど、見極めができず悩んでいる方も少なくないのではないでしょうか?
日々の業務でお忙しい事業者の方々が、煩雑な建設業許可について自力で調べるのは、時間もかかり大変な労力となります。業務を滞らせることなく迅速に建設業許可を取得し、事業の幅を広げていくには、専門家による代行申請を依頼するのが近道です。
建設業許可を取得したい方は、建設業許可関連を得意とする行政書士・杉田侑亮事務所にぜひご相談ください。また、許可取得に関してお悩みや疑問がある方もお気軽にお尋ねください。
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