建設業許可における経営業務の管理責任者とは?具体的な疑問を徹底回答!
建設業許可を取得したいけれど、自身や自社の社員が「経営業務の管理責任者」となることができるのか、どのような要件があるのかといった疑問を抱えている方は多いでしょう。そこでこの記事では、経営業務の管理責任者の概要や要件、それを証明するための書類、よくある質問への回答などについて解説します。
記事の内容は、杉田侑亮事務所の所在地である大阪府の情報を元に執筆しています。一般的な情報としても十分参考にしていただけるので、これから建設業許可を取得しようと考えている方はぜひ最後までチェックしてください。
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経営業務の管理責任者とは
「経営業務の管理責任者(経管)」とは、建設業の経営業務に関する責任者のことです。法人であれば代表取締役や執行役員などの常勤役員等(※1)が、個人事業主であれば本人または支配人(※2)がならないといけません。
建設業を営むために必要な建設業許可を取得するにあたって経管は必須です。ただし、経管は誰もがなれるわけではありません。そのため、経管となれる要件とそれを証明するために必要な書類を以下で詳しく解説します。
経営業務の管理責任者の要件
建設業許可を取得するためには、必ず自社に1名以上の経管を配置することが条件の一つとなっています。経管となれるのは、建設業の経営に関する一定の経験があることと、常勤(※3)していること、欠格要件(※4)に当てはまらないことが要件となります。
経管として認められるパターンは主に3つあります。それぞれのパターンにおける求められる経験は以下のとおりです。
◎パターン1
建設業に関して責任ある経営業務の経験が5年または6年以上ある。
さらに詳しく見ると、以下のいずれかに当てはまることが要件となります。
- 5年以上の建設業に関する経営業務の管理責任者経験がある。
- 5年以上の建設業に関する経営業務を執行する権限を持つ地位での経験がある。
- 6年以上の建設業に関する経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験がある。
◎パターン2
常勤役員等とその補佐をする人を同時に配置する。
さらに詳しくは、以下のとおりです。まず、常勤役員等として認められるには以下が要件となります。
- 建設業に関する2年以上役員等としての経験と、同じく建設業に関する5年以上役員等またはそれに次ぐ地位においての経験(ただし、財務管理、労務管理または業務運営の業務を担当する経験に限る。)がある人。
- 建設業に関わらず何かしらの業種で5年以上の役員等としての経験と、建設業に関して2年以上役員等としての経験がある人。
上記の常勤役員等を直接補佐をする人の要件は以下のとおりです。
- 建設業者のもとで5年以上財務管理、または労務管理または業務運営の業務経験がある人。
◎パターン3
国土交通大臣が上記の2つの要件と同等かそれ以上の経営体制があると認定する。
ただし、このパターンは稀なため、パターン1か2の要件に当てはまるかどうかが大切です。
経営業務の管理責任者の証明書類
経管としての経験が確かにあるということを証明するためには、それを明らかにする書類が必要となります。そのためには、営業の実態、営業の実績、常勤役員などの立場で従事した事実についてそれぞれ、証明したい期間分必要な書類を集めなくてはいけません。
営業の実態、営業の実績、どの立場で従事したかという事実をそれぞれ証明するための書類は、複数種類必要です。また法人会社での勤務か個人事業主としての経験かや、どんな立場で勤務していたかなどによって、必要となる書類が変わります。以下は必要書類の例です。
◎営業の実態を表す書類の例
- 法人税の確定申告のうちの別表一・決算報告書
- 所得税の確定申告のうちの第一表
◎営業の実績を表す書類の例
- 工事の契約書
- 工事の注文書
- 工事の請求書
◎従事したポジションを証明する書類の例
- 商業登記簿謄本
- 閉鎖謄本
- 法人税の確定申告のうち役員報酬手当及び人件費等の内訳書
- 証明期間の法人組織図
実際の状況によって用意すべき書類が変わるので、ご自身の場合の詳細を知りたい方は、当事務所までお気軽にお尋ねください。大阪府だけでなく奈良県や兵庫県など近隣府県での建設業許可や大臣許可取得のご相談もお受けしています。
経営業務の管理責任者に関するよくある質問
建設業許可の経管に関するよくある質問を解説します。
経管と専任技術者の兼任はできますか?
経管と専任技術者の兼任は可能です。ただし、両方の役割を常勤で遂行できるということを示すための書類や証明が求められる場合があります。
他社で経管をしている人に、自社で経管を兼任してもらうことはできますか?
建設業許可を申請する際、経管はその事業者専属であることが要件の1つです。そのため、複数の会社で兼任して経管になることはできません。
建設業許可の取得後、経管が退職しましたがすぐに代わりを見つけなくてもいいですか?
現在の経管が退職したら、代わりの経管を速やかに確保する必要があります。建設業許可の取得後も許可の要件を満たし続けないといけないため、経管が不在の状態では許可の取り消しをされかねません。
現在、経管が1人しかおらず退職の予定がわかっている場合は、後任の経管を新たに確保して該当の許可行政庁に登録し、前任者が退職の時点で経管不在にならないようにしましょう。経管をあらかじめ複数配置することも可能です。
大阪で建設業許可を取るなら杉田侑亮行政書士に
建設業許可を取得したいと考えているなら、必ず確保しなければならないのが経管です。ここまで、経管と認められるために必要な経験とそれを証明するために必要となる証明書類などについて解説してきました。
「この経験は経管として認められるのか?」「この経験の場合、必要な証明書類は?」などより詳細についてご相談されたい方や、申請代行を依頼されたい方は建設業許可取得を得意とする行政書士・杉田侑亮事務所にぜひご相談ください。
専門用語の解説
(※1)常勤役員等
常勤役員等とは、法人や個人事業主の組織において、日々の業務を行う役員やその支配人を指します。法人である場合は、常に業務に携わる役員のことであり、個人事業主の場合は、その個人またはその支配人を指します。組織の業務を遂行する社員、取締役、執行役などを含みます。
(※2)支配人
支配人とは、経営者や事業主の代理人として、事業に関するあらゆる行為を行う権限を持つ従業員のことです。
(※3)常勤
常勤とは、毎日一定の時間を勤務時間として働いていることを指します。
(※4)欠格要件
建設業許可における欠格要件とは、建設業を営むための許可を取得する際に、一定の法的問題や倫理的な問題がある場合に、許可を受ける資格がないと判断される事項のことを指します。例えば、役員や個人事業主が暴行や傷害罪で罰金刑を受けたり、交通違反などで執行猶予処分を受けたりしている場合や、破産者でまだ免責を受けていない場合などが該当します。
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