2023.10.20 更新

建設キャリアアップシステムとは?登録方法やメリット、建設業許可との関係をわかりやすく解説!

建設業の技能者の方や事業者の方で、 建設キャリアアップシステム がまだよくわからないという方や、申請手続きが煩雑そうで登録するべきか迷っているという方はいませんか?

技能者にとっても事業者にとってもこのシステムへ登録することによるメリットは多く、自社の信頼や評価を上げて、市場での競争力向上へとつなげていくことが可能です。逆に未登録のままだと、受注の数や質、競争力が低下するなどのデメリットが出てくることも考えられます。そのため、技能者や事業者は早めに建設キャリアアップシステムへ登録するのがおすすめです。

この記事では、建設キャリアアップシステムの概要やメリット、登録申請方法などをわかりやすく解説しています。システムのことがまだよくわからないという方はぜひ参考にしてみてください。

建設キャリアアップシステム とは

建築業許可 建設キャリアアップシステム 2

まずは、建設キャリアアップシステムとは何かを理解するため、概要やシステムの目的、利用の流れを解説していきます。

建設キャリアアップシステム の概要

建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System:CCUS)とは、技能者の保有資格や社会保険への加入の状況、就業履歴などを一元的に電子登録・蓄積する業界横断的な仕組みです。

これにもとづいて、希望者には各技能者のレベル判定が可能となりますこのレベル判定は目標設定にも活用しやすく、技能者のモチベーションアップにつなげるとともに、事業者はレベルによって賃金アップをするなど、起用する技能者の処遇改善をしやすくなるのです。

さらに事業者の施工能力においても、所属している技能者のレベルや人数などに応じた客観的な評価を可能にしましたその評価は国土交通省のWebサイトなどで公表されています。これによって技能者を育てることが施工業者の評価向上につながり、ひいては建設業界の将来の担い手を育成し確保することにもつながるのです。

建設キャリアアップシステム の目的

建設キャリアアップシステムの目的(※)は主に以下のとおりです。

  • 技能者の能力や経験等に応じた適正な処遇改善につなげること。
  • 技能者を雇用し育成する企業が伸びていける業界環境を作ること。

建設業界では技能者の高齢化とともに、若者離れが課題としてあるため、この解決のために上記を通じて、若い世代が安心して働き続けられる業界を目指しています。同時に適正な評価をすることで真に実力のある事業者が選ばれるような、透明性の高い建設市場への変革も期待されているのです。

出典(※):建設キャリアアップシステム|CCUSについて

建設キャリアアップシステム の利用の流れ

建設キャリアアップシステムは、以下のような流れで利用され、技能者の就業履歴などの情報が蓄積されます。

  1. 技能者と事業者(元請・下請)は建設キャリアアップシステムの利用登録をする。
  2. 登録が完了すると1ヵ月ほどでCCUSカードが交付される。
  3. 元請事業者は現場開設時、建設キャリアアップシステムに工事概要等を登録する。
  4. 元請事業者は現場にインターネット環境を確保し、カードリーダー等を設置する。
  5. 技能者は現場で就業の際に毎回CCUSカードをカードリーダー等にタッチする。

1の技能者と事業者の利用登録に関しては「建設キャリアアップシステムの登録申請方法」で詳しく解説するので参考にしてください。

【建設業許可に関するお問い合わせ】

建設業許可に関してお悩みではないですか?

建設業許可の取得には複雑な手続きや法的要件があり、日々の業務でお忙しい事業者の方々がご自身で手続きを進めるのは、大変な労力となります。お客様の業務を滞らせることなく迅速に建設業許可を取得し、事業の幅を広げていくには、専門家による代行申請を依頼するのが近道です。

建設業許可に関するご質問やお悩みなどがございましたら、ちょっとしたことでもぜひお気軽にお問い合わせください。

建設キャリアアップシステム のメリット

建設キャリアアップシステムへの登録は、技能者にも事業者(元請・下請)にもメリットがあります。システムへの登録者は高い評価や信頼を得やすいため、元請事業者からの選定や公共工事の受注の確立が上がり、競争力の向上につながるでしょう。

以下で立場別に詳しいメリットを見ていきます。

参考:建設キャリアアップシステム|建設キャリアアップシステムのメリット

技能者のメリット

技能者にとっては、主に以下のようなメリットがあります。

  • CCUSカードを現場のカードリーダーにかざすだけで、就業履歴を客観情報として簡単に蓄積できる。
  • 自身の経験やスキルを簡単に確認したり証明したりできる。
  • カードリーダーへのCCUSカードのタッチで日々320円の建退共掛金を積み立てができる。 (元請が一括して掛金支払い)

元請事業者のメリット

元請事業者にとっては、主に以下のようなメリットがあります。

  • 初めて仕事をする下請事業者の実力や経験を確認できるため、安心感を持って仕事に臨める。
  • 作業の進捗をパソコンで確認したり、下請事業者への支払いの適正化ができたりと現場管理が効率化する。
  • カードリーダー等の電子機器で現場管理をするため貼付等の事務作業が簡素化し、ペーパーレス化につながる。
  • 外国人労働者の資格などの確認が容易になる。

下請事業者のメリット

下請事業者にとっては、主に以下のようなメリットがあります。

  • 自社が雇用する技能者の数や保有資格、社会保険の加入状況などが明らかになり、取引先からの信頼を得やすくなる。
  • 技能者の能力評価と連動して、下請事業者の施工能力等の客観的な評価が可視化され、自社の強みとしてアピールが可能になる。
  • 自社の施工能力の評価を根拠として、賃金や代金支払いの改善を明確に求めやすくなる。

建設キャリアアップシステム の登録申請方法

建築業許可 建設キャリアアップシステム 3

建設キャリアアップシステムを利用するための登録申請の方法を解説していきます。

自身で登録申請を行うにはハードルが高いなと感じる方は、代行申請も可能です。当事務所でも代行申請をお受けしています。日々の業務が忙しい方は専門家に依頼するのが良いでしょう。

申請はインターネットか窓口

建設キャリアアップシステムの登録申請方法は、以下の2つです。

  • インターネット申請(簡略型登録と詳細型登録)
  • 窓口申請(詳細型登録)

インターネット申請は、スマートフォンやパソコンから、建設キャリアアップシステムのWebサイトより登録できます。窓口申請は、全国に「認定登録機関」がありそこで対面での申請手続きが可能です。

簡略型登録と詳細型登録の違いは以下のとおりです。

  • 簡略型登録:本人情報等の基本情報のみを登録する方法。
  • 詳細型登録:本人情報に加えて保有資格、健康診断等の情報を登録する方法。技能者の能力評価制度(レベル判定)の申請等ができる

1. 事業者登録をする

建設キャリアアップシステムの利用には、事業者側の登録と技能者の登録が必要になります。特にインターネットによる申請の場合、技能者登録をする際に所属する事業所名と事業者IDが求められるため、二度手間をせずスムーズに申請するには、事業者登録をして事業者IDを取得してから技能者登録をするようにしましょう。

「事業者登録」は元請事業者と下請事業者ともに必要となります。以下は事業者登録をする際の手順です。

【インターネット申請の場合】

  1. 会社のなかで登録責任者を決める。

登録責任者とは、登録の実務担当者であり、支払いに関するメールや事業者IDの通知メールは登録責任者に届く

  1. 申請に必要な「事業者確認書類」を集める。

書類には「事業者証明書類」と「社会保険等の加入証明書類」が求められる。「建設業許可」がある場合や、法人か個人事業主・一人親方の場合で提出する書類が異なる。

  1. 集めた「事業者確認書類」をスキャン等して電子化(JPEG)する。
  2. 建設キャリアアップシステムのWebサイトからインターネット申請による登録を進める。電子化した書類はWebサイトの手順に従ってアップロードして提出。
  3. 登録料の支払い。

【窓口申請の場合】

  1. 最寄りの「認定登録機関」に事前に電話予約をする。
  2. 申請書を建設キャリアアップシステムのWebサイトでダウンロードする。
  3. 申請に必要な「事業者確認書類」を集め、登録申請書を手書きで記載して、まとめて専用の封筒に封入する。
  4. 窓口に提出する。
  5. 登録料の支払い。

2. 技能者登録をする

技能者登録をする前に「事業者登録」をし、所属する事業者名と事業者IDを入手しておきましょう。就業履歴がきちんと蓄積されるためには、技能者情報と所属事業者情報の紐付けが重要となります。

以下は技能者登録をする際の手順です。大まかな流れは事業者登録とほぼ同じとなります。

【インターネット申請の場合】

  1. 申請に必要な「本人確認書類」を集める。ない場合は、窓口申請をする。
  2. 集めた「本人確認書類」をスキャン等して電子化(JPEG)する。
  3. 建設キャリアアップシステムのWebサイトからインターネット申請による登録を進める。電子化した書類はWebサイトの手順に従ってアップロードして提出。
  4. 登録料の支払い。

【窓口申請の場合】

  1. 最寄りの「認定登録機関」に事前に電話予約をする。
  2. 申請書を建設キャリアアップシステムのWebサイトでダウンロードする。
  3. 申請に必要な「事業者確認書類」を集め、登録申請書を手書きで記載して、まとめて専用の封筒に封入する。
  4. 窓口に提出する。
  5. 登録料の支払い。

【建設業許可に関するお問い合わせ】

建設業許可に関してお悩みではないですか?

建設業許可の取得には複雑な手続きや法的要件があり、日々の業務でお忙しい事業者の方々がご自身で手続きを進めるのは、大変な労力となります。お客様の業務を滞らせることなく迅速に建設業許可を取得し、事業の幅を広げていくには、専門家による代行申請を依頼するのが近道です。

建設業許可に関するご質問やお悩みなどがございましたら、ちょっとしたことでもぜひお気軽にお問い合わせください。

建設業許可があると事業者登録がスムーズ

建築業許可 建設キャリアアップシステム 4

建設キャリアアップシステムは、建設業許可がなくても利用可能です。ただし、許可があることで登録や登録情報の変更の際などにスムーズに手続きができます

以下は、建設業許可があることによる主なメリットです。

  • 登録申請時に建設業許可情報を登録することで、情報入力が簡易になる。

許可番号、許可業種、有効期限、事業者名、代表者名、所在地、電話番号、法人番号、資本金額、完成工事高、建設業以外の事業の有無が自動的にデータに反映される。

  • 事業者の商号、所在地の変更の際、建設業許可における変更届を許可行政庁に提出後、建設キャリアアップシステムにも自動反映される。

ただし、保険関係の番号などが変わった場合は必要書類を添付し、別途変更申請する必要あり。

建設キャリアアップシステムの利用料金

建設キャリアアップシステムを利用するにあたってかかる費用は主に以下の4種類です。

  • 技能者登録料(基本は9年ごとの支払い)
  • 事業者登録料(基本は5年ごとの支払い)
  • 管理者ID利用料(基本は毎年の支払い)
  • 現場利用料(現場で技能者が就業履歴情報を登録した回数で発生する支払い)

それぞれの料金について解説していきます。

技能者登録料 

技能者登録料とは、建設キャリアアップカードの発行に必要となる料金のことです。料金の詳細は以下となります。カードの紛失や破損などの再発行料は1,000円(税込)です。

申請方法簡略型の登録料(税込)詳細型の登録料(税込)
インターネット2,500円4,900円
認定登録期間-4,900円

有効期限は以下のとおりです。

  • 発行日から発行9年経過後最初の誕生日まで。
  • 申請時60歳以上の場合、有効期限は同14年目の誕生日まで。
  • 本人確認書類未提出者の場合、同2年目の誕生日まで。

事業者登録料

事業者登録料とは、事業者が建設キャリアアップシステムを利用するにあたって必要となる登録料のことです。事業者の資本金額によって登録料が変わります。料金の詳細は以下のとおりです。

資本金登録料(税込)
一人親方0円
500万円未満(個人事業主含む)6,000円
500万円以上1,000万円未満12,000円
1,000万円以上2,000万円未満24,000円
2,000万円以上5,000万円未満満48,000円
5,000万円以上1億円未満60,000円
1億円以上3億円未満120,000円
3億円以上10億円未満240,000円
10億円以上50億円未満480,000円
50億円以上100億円未満600,000円
100億円以上500億円未満1,200,000円
500億円以上2,400,000円

有効期限は以下のとおりです。

  • 登録が完了した日から5年後の登録月末まで。

管理者ID利用料

管理者ID利用料とは、建設キャリアアップシステムにおいて事業者情報を管理するのに 必要となる管理者ID に対する利用料金で、毎年支払う必要があります。現場管理者として登録されたIDには、管理者ID利用料は発生しません。詳細は以下のとおりです。

料金(税込)
1IDあたり(通常)11,400円
1IDあたり(一人親方の場合)0円

現場利用料 

現場利用料とは、現場情報をシステムに登録した元請事業者に対して発生する料金で、現場で技能者が就業履歴情報を登録した回数に対して、以下の料金がかかります

  • 1人/日(1つの現場当たり) 10円(税込)

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技能者の保有資格や社会保険への加入の状況、就業履歴などを一元的に電子登録・蓄積する建設キャリアアップシステムの概要やメリット、登録の申請方法などを解説してきました。

このシステムへ登録することによって、技能者はスキルや経験を客観的に証明でき、自身の処遇向上につなげやすく、事業者にとっては自社の信頼や評価となり、市場での競争力を高めやすくなります。

登録申請には手間や時間、費用がかかるため、登録を避けたいと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、今後は未登録によって受注数に悪影響が出たり、競争力の低下につながったりとデメリットが大きくなることが予想できます。そのため技能者や事業者は、建設キャリアアップシステムに早めに登録するのがおすすめです。

日々の業務が忙しくて、登録申請に手が回らないという方には、行政書士・杉田侑亮事務所で代行申請も行っています。建設キャリアアップシステムに関する疑問やお悩みにも、迅速に回答いたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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